AIとWeb3が変える音楽の形──分散型プラットフォーム「DMC」が始動、世界的DJが祝福ライブ | CoinDesk JAPAN（コインデスク・ジャパン）

AIとWeb3技術を活用した分散型音楽配信プラットフォーム「DMC」（Decentralized Music Chain）がローンチされ、6月28日にナイトクラブ「CROSS ROPPONGI」で記念イベントが開かれた。第一部のビジネス説明会では、AIによる楽曲生成とブロックチェーンによるデータ管理を組み合わせ、音楽の制作から配信、収益化、アーティスト支援までの形を再構築する構想が発表された。

AIによる楽曲生成サービスでは、作曲にとどまらず、世界のTop DJやシンガーによる編集や流通、著作権や肖像権の管理までをブロックチェーン上で行うモデルを採用。AIによって大量に生み出される楽曲の適切な管理と流通を目指す。

アーティスト支援プラットフォーム「DeXus（デクサス、仮称）」では、ファンや投資家がアーティストに直接関与するトークンコミットメントという新しいステーキングモデルを導入。プラットフォーム上にはアーティストのプロフィールや活動情報に加え、クラブイベントやDJの出演情報を集約し、イベントの事前予約やチケット購入、決済までを行える設計となっている。

〈記念イベントは六本木のクラブで行われた〉第一部ではプロジェクト主宰者が、音楽史のパラダイムシフトとして蓄音機（保存）、ウォークマン（持ち運び）、iPhone/iPod（大量携帯）を挙げたうえで、「次の変革は、AIによる音楽制作の民主化」と指摘。日本発のクラブミュージックやIP（知的財産）を世界に届ける可能性にも言及した。

トークンによるアーティスト支援

DMCの中で使用される基軸通貨には、すでに2つの取引所に上場されている「DMCCOIN（DMCC）」が用意されており、ファンや投資家はこのトークンを通じてアーティストやプロジェクトに支援することができる。

DMCCを一定期間預け入れる「トークンコミットメント」という仕組みでは、DeXus内でメジャーデビューを目指すアーティストに対し、DMCCをコミット（ステーキング）することでアーティスト支援を行う。コミットメント期間中にアーティストがライブやグッズ販売、配信などで収益を上げた場合、期間終了後にコミットしたDMCCは返還され、アーティスト活動収益の一部が利子として還元される。スマートコントラクトによって、収益分配の自動化や取引の透明性も担保されるという。

仲介者に依存しない構造により、アーティストが正当な報酬を得やすくなると主宰者は述べ、今後はNFTを活用した限定ファンクラブやリアルとオンラインを融合させたイベント体験の提供なども予定していると説明した。

本プロジェクトには、アーティスト開拓支援など海外展開に強みを持つA-Nexus、ブロックチェーン技術を活用したGPU関連プロジェクトを展開するJANCTION、音楽フェスやクラブイベントを手掛けるDiscoFieldがパートナーとして参画している。

DMCCの発行体である財団「DMCLAB」によるホワイトペーパーには、参加アーティスト情報や開発ロードマップなどが記載されており、今後はDAO型の運営体制の導入やNFTマーケットプレイスの構築などが予定されている。

なお、記念イベントの第2部では「世界のトップレーベル PROTOCOL × DiscoverFeed × DMC Night」と題したパーティーが開催され、オランダ出身の世界的DJ、Nicky Romero（ニッキー・ロメロ）氏がサプライズで登場。六本木のクラブ会場は大きな盛り上がりを見せ、ファンとアーティストが近づく新しい音楽プラットフォーム構築の門出を彩る一夜となった。

〈サプライズで登場した世界的DJ、ニッキー・ロメロ氏〉ロメロ氏はその後、DMCの公式Xにも祝福のビデオメッセージを寄せた。今後の連携にも注目が集まる。