【為替】ヘッジファンドはどこまで円を売るか? | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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ピークから35%縮小した円買いポジション=それでもまだ大幅な円買い

ヘッジFの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円買い越し(米ドル売り越し)が、5月初めに記録したピークの17.9万枚から、7月8日時点では11.6万枚となり、35%程度縮小した(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 このように大きく縮小したものの、それでも2024年までの円買い越し最高が2016年に記録した7万枚だったことを考えると、まだまだ記録的に大幅な買い越しの状況にあることには変わりなく、「買われ過ぎ」が続いているといって良いだろう(図表2参照)。ではこの円「買われ過ぎ」修正に伴う円売りはさらに続くことになるだろうか。それはこの先の円安の可能性を考える上でも、大きな鍵を握ることになりそうだ。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

円「買われ過ぎ」修正、この先の円安を大きく左右する可能性

このように大きく一方向に傾斜したポジションが夏にかけて縮小するのは例年みられる傾向で、背景には夏休みに入る前に、ポジション整理に動く影響があるのではないか。例年なら、そのようなポジションの縮小は8月にかけて続くのが基本だった。その意味では、今回の円「買われ過ぎ」修正も、まだ8月にかけて続く可能性はあるだろう。

もう1つの焦点は損益分岐点との関係だ。円買いポジションが含み益の場合はその処分を急ぐ必要性は基本的にはないだろう。ただ含み損に転落し、さらにその損失が拡大する懸念が出てきた場合は、ポジションの処分は加速する可能性がある。

実際にそれが起こったと見られたのが、ちょうど1年前、2024年7月だった。当時は最近とは逆に円は「売られ過ぎ」の状況にあったが、損益分岐点と見られた120日MA(移動平均線)を割れると円売りポジションの処分と見られる円の買い戻しが急拡大した。これはまさに、米ドル買い・円売りポジションの損失が拡大する前に、少しでも高いうちに米ドルを売る(円を買い戻す)動きが広がったためだったのではないか。

翻って足下は1年前とは逆に米ドル売り・円買いに大きく傾斜したポジションと見られるが、その損益分岐点の目安、120日MAは7月11日現在で147円ちょうどなので、円買いポジションは損失が拡大し始めた可能性がある(図表3参照)。さらなる円安で円買いポジションの損失が拡大する場合、ポジションの処分に伴う円売り拡大は要注意だろう。

【図表3】米ドル/円と120日MA(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

もう1つの焦点は米通貨政策との関係

しかし、そもそも今回の記録的な円買い拡大は金利差との関係からすると不合理なものだった。日米金利差(米ドル優位・円劣位)は一頃に比べて縮小したものの、なお絶対的には大幅な円劣位の状況が続いている中で、金利差からすると不利な円買いが記録的に拡大するところとなった。これにはトランプ政権の円高を要請する通貨政策が強く影響していた可能性が考えられる(図表4参照)。

【図表4】CFTC統計の投機筋の円ポジションと日米政策金利差(2005年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 米ドル/円と投機筋のポジションを重ねてみると、トランプ政権に変わる頃から、円安でも円売りに慎重になる一方で、積極的な円買いで円高を主導するように大きく変わったことが分かる(図表5参照)。

【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジションと米ドル/円(2024年5月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 このようなヘッジFとトランプ政権の通貨政策との強い連携に変化がないなら、ヘッジFのポジション動向はトランプ政権の通貨政策を引き続き反映したものになると考えられる。具体的には、米通貨政策が円安を容認しないなら、ヘッジFは円買いポジション損失拡大懸念にもかかわらずその処分に伴う円売りを自制する可能性は考えられる。

そうではなく、ヘッジFが円売り拡大に動いた場合は、米通貨政策との連携が変わったか、もしくは米通貨政策自体が関税交渉との関連で戦術的に対日姿勢を変えているか、そうした可能性に注目する必要があるのではないか。

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